たまご社発 食育通信

イラスト©森泉 千亜紀
「名シェフが教えるおいしい野菜料理」
(株)旭屋出版

名シェフが教えるおいしい野菜料理

その4

あなたのおくには、
どこですか?(素材の氏素性)


あなたのおくにはどこですか? それを知ることは、相手を理解し、想像を膨らませ、他との違いを確認し、そして個々の個性を尊重すること。これは人間にも食べ物にも言えることだと思いませんか?

相手を理解すると、ヤミクモにこちらの都合や好みだけを押しつけることに「悪いかな」と躊躇するというもの。

食べ物だって同じで、何でも「おいしければよい」、「安ければよい」と食べる側だけの都合を通し続けたのが今日のような結果を招きました。今日ほど多くの特別な装置や添加物は、本当に、本当に必要だったのかしらん? 自然界の都合をこんなにねじ伏せてきて、よかったのかしらん?

さて、一つの食品がいつの季節に、どこで、どのように育つ(または作られる)のか。これを知るのが食育の第一歩です。まず…食べているものの原点に関心をもつ。情報を増やし、その上で主体的に選ぶ。これがなぜ大事かというと、相手を知ることは「では、さて、自分は何者か」と考え直すことになり、その上で「自分はどうしたいか」を自分で考えて決めることにつながるからです。つまり、主体的に生きることにもつながるのです。

世の中、グローバル化が進んでも、谷や村の気候風土は変わりません。となると人の育ちも作物の育ちも変わりません。これを混ぜて「みんなほどほど同じにする」なんて、なんとつまらないことでしょう。オモシロイ個性や違いを認め合う、許し合う、時には自分から歩みよって我慢もしてみる。

子どもたちをさまざまな食の現場(畑、海、処理場、厨房、店など)や地方へ連れ出して、「違う空気」や「加工の現実」を私たち大人はもっと知らせないといけません。そして一緒に気付き、考える。

大人だって今や食の原点(素性)を見失っています。私は仕事柄、産地へ行ったり、工場へ行くことが多いのですが、びっくりすることが多いですよ。「こんなことまで、してくれなくていいのに」、「だったら、こっちだって少々は我慢したのに」と言いたくなること、いっぱいあります。

料理嫌いのママだって、きっと産地見学や試食は楽しいはず。秋こそ、アッチコッチ出かけてみましょうよ。

まつなり ようこ

今月のトピックス

食べ物の氏素性にとりわけこだわる国フランスに、90年の歴史を誇る「AOC」という制度があるの、ご存知ですか? 地域性、伝統、そして製法の確かさを国が認め、保証するというもので、認定された農産物はAOCマークを付けられ、高価格で国内外を流通しています。

この対象にはクルミや鳥類、ワイン、チーズなどさまざまありますが、この11月、当たまご社は乳製品(チーズ42種他5種)でAOCを持つものの詳細本を制作しました。タイトルは「AOCのチーズたち」。1995年に作ったものの増補版です。版元は国内初のチーズ専門店として有名な㈱フェルミエ。

関心のある方は、(株)フェルミエ(代表Tel.03-5776-7722)または、

(有)たまご社(Tel.048-712-5810)
までご一報ください。オールカラー112項 1冊3800円+税。書店では買えません。